情報削除に関する考え方とプロバイダ責任制限法の意義
サービス利用者にはサービスで情報を発信する権利があり、サービス利用者の表現や言論の自由は守られるべきです。しかし、その一方、サービスに発信された情報によって権利が侵害された方がいる場合には、その方の権利もまた守られる必要があります。
サービスを運営する事業者がサービス内の情報に対し削除依頼を受けた際には、情報発信者の権益と、発信された情報によって権利侵害を被ったとして削除を求める方の権益をそれぞれ守らなければいけません。また、事業者が削除を行なったことや削除を行わなかったことによって権益が損なわれた場合は賠償責任が生じることもあります。
しかし双方の権益は多くの場合相反し、情報削除の可否を決定することでいずれかの権益を損ねることは避けられません。事業者が削除可否を決定することができない場合は訴訟によって解決せざるを得ませんが、訴訟には費用や時間がかかり、申立者と発信者双方のみならずサービス運営者に大きい負担がかかります。また、削除決定までの間、権利侵害情報は流通しつづけ被害が拡大することにもなります。
「特定電気通信役務提供者の損害賠償責任の制限及び発信者情報の開示に関する法律(プロバイダ責任制限法)は、事業者の責任範囲を明確として免責条件や手続きを規定することにより、事業者が権利侵害情報の削除や発信者情報開示の可否を判断できるよう制定されたものです。単に申立者のために削除を強制したり発信者情報開示を義務づけるものではなく、発信者からの反論も受け付ける制度であり、発信者と申立者の双方の権益のバランスに配慮しながら早期に問題を解決できるよう規定されています。「はてな情報削除の流れ」も同法に準拠しています。
しかし多くの場合、削除申立の対象となる情報について、削除を希望する方は「明らかな権利侵害情報であり一刻も早く削除してほしい」と考えている一方、発信者は「正当な発信であり削除を要するものではない」と考えています。そのような相反する認識がある以上、法令を遵守して中立の立場から公正な対応を目指しましても双方からご理解いただけないことも多いものと考えています。
手続きによりお手数をおかけし、場合によってはお気持ちを害する方もおられるかとは思いますが、情報削除に係る手続きはあくまで中立の立場にて発信者と申立者の双方の権利を守りながら早期に問題を解決するための法手続きであることをご理解いただきますようお願い申し上げます。
「はてな情報削除の流れ」について
はてなでは、ユーザーが投稿した情報に対する削除申請に関する手続きについて「はてな情報削除の流れ」というドキュメントを公開しています。これは「特定電気通信役務提供者の損害賠償責任の制限及び発信者情報の開示に関する法律(プロバイダ責任制限法)」および日本テレコムサービス協会が公開している同法ガイドラインに準拠するものです。
「はてな情報削除の流れ」および、個々の対応方針においては、これら文書に規定がない部分について補完したり、円滑に手続きを行うために簡便化するなど、はてなが独自に定めている事項もありますが、基本的には日本の多くのウェブサービスと同様のルールにもとづいて削除に関するルールを定め運用しています。
はてなでは2006年に現行ルールを制定以来、すでに15年以上にわたり運用の実績があります。初期から対応事例について積極的に公開している他、2021年からは申立の数や削除対応の状況について定期的に集計したデータを総務省と共有しております。また、業界団体などでも制度設計や運用について積極的に知見の共有を行っており、サービス内のみならずインターネット言論空間全体の健全性向上を目指しています。
よく聞かれる質問、要望の公開について
以前より、情報削除申立を受けた方や情報削除を希望される方に対して情報削除の手続きに係るご案内をする際、さまざまなご質問やご意見を承っております。
それらのご質問やご意見に対してはサポート窓口より個別にご回答をいたしており、必要に応じ事例集で情報を公開していますが、手続きの内容や意図を誤解されたり十分にご理解いただけないまま、SNSなどで誤った情報を流布されるような事例も散見されます。
ここでは過去にいただきましたご質問やご意見から代表的なものを取りまとめ、はてなの見解を公開いたします。(質問例は複数の事例からはてなが要約したり編集したものであり、実際の質問とは一部改変をしています)
申立者と発信者、双方に対し中立的な対応を行うことは困難を伴いますが、はてなとしては可能な限り迅速に公正な対応ができるよう努力をいたしております。お気づきの点やご不明の点がおありの際には、ぜひお問い合わせください。
削除申立を受けた方(発信者)からの質問、要望
- [ご質問] 私の投稿した記事に対して削除申立があったとの通知がありました。削除を強制されるようで不満です。
- [はてなの見解] 意見照会の依頼メールにも記載いたしておりますが、意見照会は情報削除を強制するものではありません。発信者ご自身にご自身の情報の削除可否をお考えいただき、対象となる情報が権利侵害情報に相当しないため削除しない場合は反論を受け付けております。その理由が正当であれば反論を受理し、削除の必要はありません。
- [ご質問] 申立の内容を見ましたが、相手の言い分に納得できません。ちゃんと審査してから申立を受理していますか?
- [はてなの見解] 申立が本人からのものであり、権利侵害に相当するとされる情報と理由が特定されており、正しい書式によって申立があった場合は受理しています。
- 意見照会を行う場合は「権利侵害に相当するかどうかは判断できない」というステータスです。はてなが申立者の意見を精査して正当であると判断した上で受理をしているのではありません。申立内容が不当であり自身の発信した情報は権利侵害に相当しないとお考えの場合は反論を行なってください。
- [ご質問] 一般人と弁護士がついている法人や著名人とでは対応方針に差はありますか?
- [はてなの見解] 当事者から「はてな情報削除の流れ」に沿った手順で申立がありました場合は、弁護士の委任の有無を問わず一律に対応をしています。
- [ご質問] 通報は放置するのに、私の記事は削除しろというのはおかしくないですか?
- [はてなの見解] 第三者からの通報と、当事者からの削除申立では対応が異なります。通報を受けた記事は、はてな情報削除ガイドラインにもとづき即時削除相当と判断した場合は削除、その他にゾーニングや注意勧告など利用状況に応じて対応を決定しています。削除されない場合も放置しているということではありません。一方、当事者から申立がありました場合はプロバイダ責任制限法に基づき対応します。そのため、対象となる記事が同じような表現であっても、通報では削除対応は行わず、削除申立では手続きをすすめることがあります。
- なお、ご自身に対する権利侵害情報に対して通報をされる方がおられますが、その場合は、通報ではなく削除申立を行なってください。
- [ご質問] 自分の好きなアーティストの活動について悪口を言われているので削除申立したいです
- [はてなの見解] アーティストの活動など公となっている事項への言及に関する削除申立の手続きは当事者と委任を受けた代理人のみ可能です。削除を希望する場合、当事者または所属事務所など代理人に対し通報や相談を行なってください。
- [ご質問] 相手も同様に自分に対する権利侵害情報を発信しているので申立を受理しないでください
- [はてなの見解] 議論の応酬となっている場合、権利侵害に相当しないことがありますが、その判断をはてなが行うことはできません。ご自身で反論を行なってください。また、相手の発信している自分に対する権利侵害情報を削除したい場合は、その情報に対し削除申立を行なってください。
- [ご質問] 同じようなことを書いている人もいるのに、どうして私の記事だけ削除を求められるのですか?
- [はてなの見解] 削除申立は申立者が自身の判断により行う手続きです。そのため、他の同様の投稿に対しても同時に申立を受けている場合もあり、同様の投稿を申立者が確認していないため申立されていない場合もあります。「他の人も書いているから問題ない」と考えるのではなく、ご自身の判断で削除の可否をお考えください。
- [ご質問] 私のほうが被害者で弱い立場から事実を告発しています。加害者がもみ消しのために情報削除を求めるのは横暴であり二次加害です。このような申立は受理しないでください
- [はてなの見解] 申立者と発信者との間で生じた事実関係を客観的に判断することはできませんので申立は一律に受理しています。自身の発信した情報が権利侵害に相当しないとお考えの場合は反論を行なってください。
- [ご質問] 正当な批判なのにユーザーにいちいち反論をさせるのですか?はてなが判断しないのは無責任ではないですか?
- [はてなの見解] はてな利用規約 第5条 (ユーザーの責任)では、自身の発信した情報によって生じる責任をご自身で負うこと、はてなは責任を負わないことに同意いただきました上でサービスをご利用いただいております。正当な批判であるとお考えであってもご自身の責任のもとで反論を行なってください。
- [ご質問] 反論のために7日しか猶予がないのは短かすぎではないですか?
- [はてなの見解] 猶予期限ははてなが独自に規定するものではなく、プロバイダ責任制限法 第3条2項2号に基づくものです。超過した場合は送信防止措置の対象としています。
- [ご質問] 弁護士に相談したり証拠を収集するため時間がかかり7日以内に回答できません
- [はてなの見解] 反論は要旨だけの簡潔なもので受理可能です。専門家への相談を行なっていたり反論を取りまとめるのに時間がかかる場合はその旨を7日以内にお知らせください。
- [ご質問] 総務省のプロバイダ責任制限法Q&Aでは「プロバイダ責任制限法は情報削除を義務付ける法律ではない」とされていますが、なぜ送信防止措置を取るのですか?
- [はてなの見解] はてな利用規約では 発信者が第三者に対する権利侵害情報を発信した際にそれによって生じる責任をはてなは負わない規定としています。しかし、第三者から権利侵害情報であるとの申立を受けたにも関わらず、送信防止措置を取らず情報送信を継続した場合、その判断をしたはてなにも責任が生じることとなります。そのため、同法によって発信者に対する賠償責任が免責される条件を満たす場合は送信防止措置を取っています。
- [ご質問] 意見照会のメールに気づかず反論期限に間に合いませんでした。情報送信防止措置の後で反論を行っても再公開できないのはどうしてですか?相手の言い分に納得できないのに削除を強制されるのは不当です。
- [はてなの見解] 削除(送信防止措置)となった後の対応についてはプロバイダ責任制限法ガイドラインに規定されていないため、はてなが特に定めるもので、事例集に考え方を公開しています。
- 送信防止措置が決定されたにもかかわらず後日になって反論を受け再送信されることがありますと、申立者はいつまでたっても情報の送信防止が確定しない状況に置かれることとなり、迅速な解決をめざす制度の趣旨に沿わないものと考えます。そのため猶予期限後は反論を受け付けません。
- また、利用規約第5条の2では「当社からの電子メールが受信できなかったためにユーザーが被った不利益については、ユーザー自身に責任があるものとし、当社は一切の責任を負いません。」と定めています。はてなから送付する「ご利用に関する重要なお知らせ」との表題のメールは必ずご確認ください。
- [ご質問] 意見照会を受け自主削除しましたが、やはり申立者の言い分に納得できないので再公開させてください
- [はてなの見解] 「はてな情報削除ガイドライン」では「はてなより削除に関する意見照会を受けた発信者が一旦は自主的に削除を行ったにも関わらず、後日、はてなまたは削除要請を行った者の許諾なく同様の情報を掲載しなおした場合、即時削除を行い、発信者のサービスの利用を停止する。」と定めています。一旦形式的に削除を行った上で同様の権利侵害情報の再送信を行う行為は手続き自体を無効化するものですので許諾できません。なお、伏せ字や改変を行なっても内容の趣旨が同一である場合は再公開とみなします。
- [ご質問] 意見照会に対して記事すべての削除には同意できませんが、一部修正をして対応したいと思います。可能でしょうか。
- [はてなの見解] 申立者が権利侵害であるとする表現をあらため、申立者に対する権利侵害に相当しない内容に修正した場合、情報削除と同様に自主的に送信防止措置の対応をされたものとみなします。また、申立者が権利侵害とする表現の一部については削除に同意できるが、同意できない表現もある場合は、一部修正しながら削除に同意できない表現については反論を行うという対応が可能です。
- 一方、打ち消し線で消したり、一部を伏せ字にする、色を反転するなど、情報送信を継続することを目的とした形式的な改変については送信防止措置対応とはみなしません。
- なお、修正による対応を求められた事例と考え方を事例集に公開していますのであわせてご参照ください。
- [ご質問] 情報送信防止措置の後で情報を自主削除したのにいつまでたっても再公開されません。
- [はてなの見解] 送信防止措置の後に情報を自主削除されましても自動では再公開されません。自主削除の後、はてなに対しご連絡をいただき、今後申立者の権利を侵害する可能性がある情報の掲載を行わないとの誓約があり、利用状況や投稿内容からも今後そのような情報が投稿される可能性が低いと判断した場合に限り、サービスの再公開を許諾しています。
- [ご質問] 削除申立を受けたことを公開してはいけないというルールは、権力者の言論弾圧や都合の悪い情報のもみ消しを容易にする不当なルールではないでしょうか
- [はてなの見解] 申立を受けた事実の無断公開を禁じるルールははてなが特に定めたもので、削除申立の通知メールにて発信者に対して開示しないよう要請しています。また事例集にも公開しています。
- 意見照会を受けた発信者が申立に係る情報を公開することにより、第三者が元記事の転載を行い拡散したりさらに申立者に対し権利侵害情報を含む言及をするなど、状況が複雑になり申立者が権益を回復する妨げとなる可能性があります。さらに、新たに投稿された情報に対して当事者が削除申立の手続きを繰り返すことになりますと、問題解決まで長期化します。当事者にとっても負担が大きく、はてなとしても円滑な対応が難しくなります。
- このような事態を防ぎ、健全に手続きをすすめるため、少なくとも対応完了までは無断での情報開示を禁じています。なお、対応完了後「当事者からの申立により対応を行なった」といった事実関係の開示を要する場合は、開示する内容やその趣旨を事前にご相談いただきました後、申立者の権利を侵害しない範囲で開示を認めています。
- 申立が言論弾圧やもみ消しを目的としているか、権利侵害を被った被害者が削除を求めているかを客観的に判断することは困難です。発信者と申立者の権益は相反しており、発信者による「言論弾圧やもみ消しを目的とした削除申立である」との見解については、必ずしも中立的な判断とは限りません。
- 本来、自身に対する権利侵害情報に対して削除申立を行うことは正当な手続きであり、削除申立を行なったことにより不当に不利益を被るべきではないと考えています。また、削除申立による不利益を避けるため、申立を経ずに直接提訴するような事例が増えますと、訴訟対応によりサービス運営に係る負担が増えるのみならず、発信者の反論機会がないままに裁判所の決定に従って情報が削除されたり発信者情報が開示されるといった事態も発生します。これは訴訟を行うリソースを持つ権力者にのみ有利であり、健全と言えません。円滑かつ公正に削除手続きを運用できるよう情報開示に制約を設けておりますので、ご理解ください。
- [ご質問] 送信防止措置は最低限の方法で行うとあるのに、特定の記事だけでなくブログ全体が公開停止になるのはどうしてですか?
- [はてなの見解] 必要最小限度の送信防止措置とは「送信防止の実効性が見込める範囲で最低限の措置」と定義されます。サービスの一部のみの公開停止ではサービス内での権利侵害情報の再送信を抑止できない場合、サービス全体の公開を停止しています。
- ブログの事例では、特定の記事のみを非公開とするだけでは、措置の後もブログを利用して権利侵害情報の発信が行われることを抑止できません。そのためブログ全体の公開を停止しています。
- 特に、発信者が意見照会の通知に気づかずに照会期限を過ぎて送信防止措置となった場合、単体記事の非公開化では送信防止措置を行なった旨の通知に気づかない状態でサービス利用を継続し、知らずに権利侵害情報を再発信してしまう恐れがあります。
- [ご質問] 申立に対し反論を行い削除不可となりましたが、この後はなにか不利益になるようなことはありませんか?
- [はてなの見解] はてなが削除不可と判断しても、申立者が削除や発信者情報開示を求めて提訴したり裁判所に仮処分を申し立てる可能性があります。また最初からはてなに対する申立を行わず直接裁判所に申立を行う事例もあります。このような場合、はてなは顧問弁護士に委任し、発信者に不利がないよう誠実に対応を行いますが、裁判所の決定または強い勧告として削除を求められた場合、事前の通知なく情報送信防止措置を取り、また発信者情報を開示します。また、そのような場合も経過について事前にお知らせすることはできません。決定が出た場合ご登録メールアドレスあてにご連絡をいたします。
- まれに刑事事件として警察の捜査対象となることがあります。捜査令状による差し押さえ対象となった場合、はてなでは発信者情報を開示いたしますが、警察の捜査対象となっている事実も含めて一切お知らせすることはできません。
削除を希望する方(申立者)からの質問、要望
- [ご質問] どう見ても私に対する誹謗中傷なのにすぐに削除しないのはなぜですか?
- [はてなの見解] 当事者にとって自身に対する誹謗中傷であると認識される内容であっても、違法性阻却事由の存在や、当事者の特定ができないなど権利侵害に相当することが明白とは言えない場合もあり、必ずしも削除のご希望には添えません。
- 権利侵害に相当することが明白か否かについては、過去判例や一般社団法人セーファーインターネット協会による権利侵害明白性ガイドラインを参照し、必要に応じて顧問弁護士との協議を経て決定しています。
- なお、権利侵害明白性ガイドラインと合わせて裁判例要旨が公開されておりますが、相当強い表現であっても権利侵害に相当することが明白との判断に至らない例が多数あります。このような判例を鑑みましても、権利侵害に相当することが明白と判断できる事例は限定されるものと考えられます。
- [ご質問] 他社サービスでは削除されているのにはてなでは削除されないのはコンプライアンスに問題があるのでは?
- [はてなの見解] 情報削除についてはサービスにより方針は異なります。他社で削除された理由も、投稿が権利侵害に相当することが明らかであるためではなく、各社独自のルールに基づく判断である可能性があります。特に海外に拠点を持つサービスでは準拠法が異なるため、対応方針も異なります。はてなとしては、日本法に準拠し、はてなの定める利用規約やガイドラインに則って対応をいたします。
- [ご質問] 著作権侵害なので削除してください。Googleからはすぐに消えたので明らかに権利侵害です。はてなも速やかに消してください。
- [はてなの見解] 米国のデジタルミレニアム著作権法では著作権侵害情報について所定の方式で侵害申立を受けた場合、無条件に削除を行い、削除された方からの反論がある場合は後で受け付ける規定になっています。情報が削除された場合であっても著作権侵害ではない可能性があります。
- はてなは日本法に準拠しており、プロバイダ責任制限法およびそのガイドラインに基づいて対応をしています。掲載されている内容から権利侵害であることが明白と判断し、意見照会のプロセスを経ず即時送信防止措置を取ることもありますが、当事者の申告ではどちらがオリジナルかを証明することが難しい事例や、引用の要件を満たす可能性がある事例も多く、そのような場合は即時削除はできません。
- [ご質問] 意見照会を行ったことが拡散されると困るので発信者に通知せず削除してもらえませんか?
- [はてなの見解] 第三者から見ても明らかな権利侵害や違法有害情報である場合を除き、申立を受けて情報削除する際には申立を受けた事実とその理由を伝える必要があります。発信者はサービスを通じて情報発信をする権利を有しているため、はてなが情報の削除を行うことは、その権益を侵害することになります。そのため、情報削除を行なった場合は、正当な理由による情報削除であることを発信者に説明する必要があり、理由を通知せずに情報を削除することはできません。
- なお、はてなでは意見照会を受けた発信者がその事実をサービス内にみだりに開示することは禁止しています。
- [ご質問] 弁護士をつけないと手続きは難しいと聞きましたが本当ですか?
- [はてなの見解] 「はてな情報削除の流れ」では本人確認書類の提出など一部の手続きを省略しており、どなたでも電子メールや書面で簡単に申立が可能です。多くの事例ではご本人が申立を行なっており、弁護士への委任は必須ではありません。
- ただし、申立書面に記載する内容についてご本人が正確に記載できず受理できない場合は弁護士へのご相談を促すこともあります。
- [ご質問] 手続きを行うことで発信者に身元がバレたりしませんか?
- [はてなの見解] 権利侵害を被った当事者からの申立である事実は通知いたしますが、氏名や住所などの個人情報は開示いたしません。発信者の発信した情報により権利が侵害された当事者であることを説明するために必要な範囲で情報の公開を行いますので、記事内に実名が記載されている場合などは実名を伏せて対応することが困難な場合があります。いずれの場合であっても、申立者に同意いただいた上で手続きをすすめます。公開の同意が得られない場合は削除手続きは行いません。
- [ご質問] 申立を受理してから削除決定まで7日も要するのはどうかと思います
- [はてなの見解] 申立を受理した後、発信者に対して削除の可否を確認し意見を受け付ける期間として7日間要します。この手続や意見の受付期限はプロバイダ責任制限法 第3条2項2号 に基づくものです。期限を超過した場合に送信防止措置を行なっても発信者からの賠償責任は免責されることが規定されていますので、期限を経てから対応しています。
- [ご質問] 相手は匿名なのにこちらは住所や氏名を公開しないといけないのはおかしくないですか?投稿者の身元も教えてください。
- [はてなの見解] プロバイダ責任制限法に基づく削除申立は、法に基づく手続きであり本人確認を要します。そのため住所や氏名を記載いただいており匿名での申立を受理することはできません。なお、申立に含まれる個人情報は発信者も含め第三者に公開いたしません。本人からの申立か否かに疑義があった場合など、はてなによる本人確認のためのみに利用します。
- 一方、発信者情報については個人情報保護法により開示が制限されています。賠償請求等のため投稿者の身元を特定したい場合は、プロバイダ責任制限法に基づき発信者情報開示請求を別途行なってください。
→はてな発信者情報開示の流れ - Hatena Policies
- [ご質問] 削除手続きを行なっても、投稿者が他社のサービスに同じことを書く場合どうしたらいいですか?
- [はてなの見解] はてなが送信防止措置を取れるのは、はてなのサービス内の情報に限られます。発信者が複数のサービスに権利侵害情報を投稿している場合、はてな内の情報を削除しても抑止につながらず、今後、削除依頼が難しい海外のサービスを利用したり発信元を偽装するなど、解決が困難になるおそれもありますので、早期に最寄りの警察にご相談いただくことをおすすめしています。
- なお、一旦削除したり送信防止措置対象となった情報を発信者がはてなのサービスを利用して再送信する行為は禁じております。その場合、即時非公開としますのでお知らせください。
- [ご質問] ブログは送信防止されたのに投稿者はいまだにブックマークを使っています。サービスの利用をすべてやめさせてほしいです。
- [はてなの見解] はてなの運営するサービスはそれぞれ利用目的の異なるサービスですので、あるサービスで送信防止措置を取ったユーザーが別のサービスでも権利侵害情報を発信するとはいえません。送信防止措置は必要最小限度にとどめていますので、送信防止措置の際、他サービスの利用は停止しないことがあります。ただし、当該ユーザーが別のサービスも利用して権利侵害情報を送信した場合、サービス全域の利用をお断りすることになります。
- [ご質問] 削除だけではなく謝罪も行なってほしいです。黙って消して終わりでは納得いきません。
- [はてなの見解] 謝罪の依頼については、はてなが取次ぐことはできません。発信者情報開示請求を行い、発信者に直接依頼してください。
- [ご質問] 反論があればなんでも削除されないのでしょうか。匿名の人物の無責任な反論に意味はないと思います。
- [はてなの見解] プロバイダ責任制限法において発信者が匿名である場合と実名である場合に手続き上の区別はありません。 匿名であっても反論の内容が正当であり権利侵害に相当することが明白とはいえない場合は反論を受理し削除を行わないとの判断となります。また、はてなではユーザー名をペンネーム等と同等に実名ではないものの個人を特定する名称として取り扱っています。そのため、ユーザー名を明示して発信されている情報はユーザーが責任をもって発信している情報であると考えています。
- [ご質問] 発信者からの反論を受けたため削除しないとのことですが、これは、はてなが反論を完全に受け入れ「権利侵害情報ではない」と認めたということでしょうか?
- [はてなの見解] 権利侵害に相当するかどうかを判断できず、権利侵害情報に相当することが明白とまでは言えない場合、プロバイダ責任制限法の免責事項を満たしませんので削除できません。削除を行わないことをもって、はてなが権利侵害情報ではないと認めたということではありません。
- [ご質問] 発信者からの反論を受け、削除不可となりましたがどうしても納得ができません。どう対応すれば良いですか?
- [はてなの見解] 第三者機関として法務省人権擁護局、警察などにご相談いただくことも可能です。「はてな情報削除ガイドライン」では公的機関を通じて正当な理由から削除要請がありました場合は、削除対応を行うことを定めています。
- 訴訟や仮処分申立によって削除を求める場合は弁護士など専門家にご相談ください。
- [ご質問] 削除対応されないのであれば警察に相談します。捜査のため発信者の個人情報を教えてください。
- [はてなの見解] まず、最寄り警察にご相談ください。捜査対象となりました場合、発信者情報など捜査に必要な情報については警察からはてなに対し照会がありますので、警察に相談するにあたり発信者の個人情報は必要ありません。もし、警察から発信者の個人情報を求められた場合、はてなから直接対応いたしますので、警察署名と担当者の部署とお名前をお知らせください。
- [ご質問] 警察に相談したところ、この情報は削除すべきと担当者が言っていました。削除してください
- [はてなの見解] 担当者にはてなまで直接ご連絡いただくようお伝えください。または、はてなから担当者に確認しますので、警察署名と担当者の部署、お名前をお知らせください。
その他の質問
- [ご質問] 自分が購読しているブログが非公開になり、作者が「はてなに情報を強制削除された」と主張しています。これは、誰かから通報があり、はてながブログの情報が権利侵害にあたると判断したのでしょうか
- [はてなの見解] 権利侵害情報の発信以外にも、はてなでは利用規約で禁止している事項があり、それに抵触する行為があった可能性があります。個別のブログの削除理由についてはブログ作者以外にご回答することはできません。
- [ご質問] 自分ははてなの関係者と知り合いだから、自分を誹謗したら痛い目に合うと言っている人がいました。知り合いだと有利になるのですか?
- [はてなの見解] そのような事実はありません。関係者であっても一律の対応方針となります。
- [ご質問] 「はてなから全部削除しろと圧力をかけられた」と言っている人がいますが、通報や依頼があれば削除を強制されるのでしょうか?
- [はてなの見解] 削除申立があった旨をはてなから発信者に通知する場合、意見照会として一定の期間を設けて申立に対する反論を受け付けています。削除の強制ではありません。
- なお、意見照会の対応期限を超過して送信防止措置の対象となった場合は反論を受け付けられませんので、送信防止措置を解除するためには情報を削除する必要があります。
- 申立の対象となった情報が権利侵害情報であることが明白であったり、はてなの規約やガイドラインに反する利用であった場合、はてなが削除したり期限を切って自主削除を促すことはあります
- [はてなの見解] 削除申立があった旨をはてなから発信者に通知する場合、意見照会として一定の期間を設けて申立に対する反論を受け付けています。削除の強制ではありません。
改定履歴
- 2022年6月23日 公開