ブログ記事に対する削除ならびに発信者情報開示を求める仮処分申立

  • ブログ記事内の批判表現が法人に対する名誉毀損情報に相当するとして、法人の代理人弁護士より東京地裁に対し発信者情報開示と投稿記事削除の仮処分命令を求める申立あり
  • 記事に記載された内容が真実であると考えられることなどから、申立を却下するとの答弁を提出した
  • 審尋の結果、申立を却下する裁定となった。理由の概略を下記に記載する
    • 一連の批判表現には、事実を摘示するものと、意見、論評を表明するものがあり、それらにより社会的評価が低下していることについては認めるが、下記のような理由から違法性は阻却される
      • 事実を摘示しての名誉毀損にあたっては、その行為が公共の利害に関する事実に係り、かつ、その目的が専ら公益を図ることにあった場合に、摘示された事実がその重要な部分について真実であるときは、違法性がないというべきである
      • また、ある真実を基礎としての意見、論評の表明による名誉毀損にあっては、その行為が公共の利害に関する事実に係り、かつ、その目的が専ら公益を図ることにあった場合に、摘示された事実がその重要な部分について真実であるときは、人身攻撃に及ぶなど意見ないし論評としての域を逸脱したものでない限り、違法性を欠くというべきである
      • 記事では、事実に基づき同法人の報酬基準が適正とされた額を上回る可能性があること、また、それにより依頼者に損失を与える危険性を摘示しており、重要な部分について真実と認められる。
      • 一方、申立者の主張として提示された疎明資料は、いずれもその事実を否定できるものではなく、採用することができない
  • 申立が却下されたため特段の対応を行わない