はてなのコミュニティガイドラインを公開しました。また、それにあわせて、はてなのポリシーをまとめたページを作成しました

本日、はてなのコミュニティガイドラインを公開いたしました。
https://policies.hatena.ne.jp/community-guideline

また、それにあわせてはてなのポリシーに関わるドキュメントを集約した、はてなのポリシーサイトも公開しています。
https://policies.hatena.ne.jp/

これまで、情報削除ガイドラインやサービスごとのガイドラインとして、利用上のルールや禁止事項などを公開してきましたが、その根底となるポリシー、すなわち、はてながコミュニティに対してどのような考え方をもっているかについて一見して理解できるドキュメントは公開していませんでした。今回公開するコミュニティガイドラインでは、それらについて広くユーザーに理解していただくことを目的としたものです。

ぜひ、ご一読ください。


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公式キャラクター まもる

はてなのコミュニティガイドライン公開に至った経緯

はてなが人力検索はてなやアンテナ、ダイアリーなどを公開した2000年代初頭から今日まで、はてなのサービスはユーザーコミュニティとともに変化し、成長してきました。また、はてなを取り巻くインターネット、さらには社会も変化し続けています。

ユーザーコミュニティは、ユーザーがコンテンツを発信し、共有し、共感し合う場として、はてなにとっても非常に大切なものです。しかし、その反面、権利侵害情報や違法有害情報など不適切な情報発信や、コミュニティにおける様々な衝突も発生します。

インターネット上の違法行為やトラブルについて、社会的にもルールが整備され、判例が蓄積される中、はてなも、インターネットと社会の関わり、サービスの利用状況などに応じてさまざまなことを考慮し柔軟に対応してきました。例えば、

  • 発信者と申立者をできる限り平等に扱う情報削除に関するルール、基準づくり
  • 各種申立において本人確認資料の提出など煩雑な手続きを省き簡便にする
  • サービスの性格に基づく独自の利用ルール*1

などが挙げられます。

それらの事例や対応の一部については 情報削除・発信者情報開示関連事例 にて公開していますので、是非ご覧になってください。

しかしながら、これまでのガイドラインは基本的には禁止事項を規定するものであり、ネガティブな事象が発生したユーザーにしか届きにくく、認知していただけるユーザーが限られます。

また、はてなとしてコミュニティはこうあるべき、といった方針を強く発信することはありませんでした。これは、これまでのはてなのスタンスが、ユーザー間の話し合いや、自由なサービス利用から生まれるものを大事にしたい、という思いをもっていたためです。

サービス規模が小さく、インターネットの利用者も限られていた時期は、はてなの運営スタッフとユーザーは、いわば顔の見える距離にいて相互理解が得られていました。また、特にインターネット黎明期からコミュニティで発信していた情報リテラシの高いユーザーが集まっていたこともあり、このようなスタンスがサービスの特色として受け入れられ、上手く機能していました。

しかしながら、すでにインターネット利用が特別なことではなくなった現在、多様なユーザーが集まる良いプラットフォームを目指していくためには、自然発生的なコミュニティを見守り尊重しながら、はてなからもユーザーコミュニティに対する思いを共有し、はてなとユーザーが共により良いコミュニティを目指していく必要があり、またそれが求められていると考えました。そのため、今回コミュニティガイドラインを作成し公開することとしました。

ユーザーの情報発信と社会的責任

ブログやブックマークなど、はてなの提供するサービスには、ユーザーが自由に発信できるパーソナルな空間としての側面と、社会に情報を向け発信したりユーザー間で情報共有を行うソーシャルメディアとしての側面があります。

ソーシャルメディアから発信される情報が増え、存在感が増すにつれ、サービス運営者に対して、メディアとしての社会的責任が問われるようになってきました。さらに、近年では自然発生的にユーザーコミュニティから発信される情報についても、同じく責任が求められるようになってきています。

例えば、疑似科学に基づいた医療情報など、一個人の経験や意見としては許容できる内容であっても、コミュニティ内で広く共有、拡散されることで深刻な健康被害につながることがあります。また、個人的な誤解に基づく意見や憶測であっても、それが広く流布され、多数の意見となった場合、深刻なヘイトスピーチやデマとなりえます。

これまで、個人が発信する意見に対して一定のガイドラインを定めて規制を行っていましたが、上記のようなケースはそれでは対応できません。

このようなケースに対応するために、特に健康や財産に対する悪影響が懸念される情報などについて、公的機関が公開している情報への誘導を表示したり、表示の抑制や注意・警告の表示などができるようガイドラインに改定を加えております。

ただし、これらの問題解決は非常に難しい問題で、改定を加えただけで解決する問題ではありません。これまで通報などをいただいた事例においても、問題視される表現にはグラデーションがあり、発信者の置かれた立場や発言の文脈など、考慮しないといけない要素が多く、簡単には判断ができないケースがほとんどです。
また、当事者間の議論によらないはてなによる判断は、ともすれば恣意的なものとなり公正性が損なわれたり、社会的な共通認識を逸脱したりする可能性もありますし、ユーザーの表現や議論の萎縮を招く可能性もあり、慎重なスタンスを取る必要があるとも考えています

困難な問題ではありますが、コミュニティガイドラインにて公開している価値観を共有した上で議論や発信を行っていただくことは問題の緩和にもつながるものと考えています。また、はてなとしては、さまざまな問題に対してこのような裁定を行うという情報を事例として継続的に公開することによって公正さを担保し、ユーザーからも広く理解が得られるよう努力します。

終わりに

コミュニティガイドラインは、ユーザーに向けたものだけではなく、はてな自身に向けたものでもあります。コミュニティ上で発生する問題への対応やルールづくりのみではなく、サービスの企画、機能設計、はてなから発信する情報など、さまざまな領域において、サービス全体がその価値観に沿ったものとなるよう運営していくというメッセージです。

今回のコミュニティガイドラインの公開を皮切りに、多くのユーザー様に安心してご利用いただけるコミュニティを提供できるよう、またソーシャルメディアとしての信頼性を保てるよう、はてなも引き続き努力してまいります。どうぞよろしくお願いいたします。